破産の評価
破産の感想
私小説?それとも・・
野ばら氏の作品は、いつも完全な私小説のような気になるのだけど、実際は違うのだということが読み進めると分かる。彼自身に興味がある読者なら、すべての主人公に彼を重ね合わせて読むだろうから、そのことでリアル度がグンと増す計算になっているものと思われる。実際に、彼のブログなどを読んでから著書を読むと、虚構と現実の区別がつかなくなってしまう。この『破産』は、周囲のキャラクターが強烈なので、まだ虚構であることの確信を持ちながら読むことは出来るが、それでも実際にある出版社や、作中に出てくるちょっともじった彼の著書などに過剰に『私小説?!』と反応してしまう自分がいる。内容は、とてもスピード感があって面白い。・・面白いのだけど、結末の浅さというか、結末がとってつけたようなものになっている感が否めない。しかし、その、結末におけるファンタジスタ感。読者の突き放し感。がポイントになっていると考えることもできる。