路(ルウ)の評価
路(ルウ)についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が2件掲載中です。
各項目の評価分布
路(ルウ)の感想
日本の新幹線が台湾を走るという壮大な夢の実現
吉田修一のイメージとは少し違った作品吉田修一の作品は「東京湾景」や「7月24日通り」のような現代若者の恋愛や生活、心理などが生き生きと描かれる作品、「悪人」「怒り」のようなサスペンス、スパイものの「太陽は動かない」などジャンルは様々あるけれど、この「路」はそのどれにも属さない新たなジャンルのように思われる。個人的には吉田修一の作品の中で、好きな作品のひとつだ。この作品を書き上げるのに多くの取材の時間を費やしたように感じられる。今の台湾の町並みや風景はもちろん、新幹線が走る前の風景などの描写は目の前にその光景が広がるようだ。吉田修一の作品の特徴の一つに、風景の描写のうまさがあると思う。もっと言えば、人物の心理描写よりもそちらのほうがうまいと思う。今回も流れていく風景のひとつひとつ、台湾の町並み、屋台のにぎやかな様子が丁寧に書かれており、自分が本当に車窓から見ているような、スクーターから見...この感想を読む