世の中には負の遺産というのがある。それが放っておけば消えてなくなるものなら、そのままにしておけばいい。でもそうならないのなら、誰かが引き受けるしかない。それが俺であったってかまわないだろ。
蒲生蒼太
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謎満載の前半部前半部においては謎めいた構成で、いったい、何がどうつながるのかわからないから、次々とページをめくりたくなる。具体的には、プロローグで描かれる理不尽な昔の無差別殺人事件、これと第1章から始まる主人公の家族の朝顔への異常な執着がどうつながるのか、そんなある朝顔市の夜にせっかく知り合った若い主人公とその彼女はなぜ家族からの圧力で別れなければならなかったのか、黄色い朝顔の意味するもの(これをあまり深追いするなと忠告される人たち)、そして別の朝顔(植物)愛好家である老人が発見した黄色い朝顔とその後、殺される老人。その謎を追う孫娘とこれに先立ついとこの自殺。のっけから謎の満載で、次々と読ませる推進力は相変わらずすごい。最初の驚きは花じゃなく種だった読み進めていくうちに、まず大きな謎が明かされる。最初の驚きは、なぜ黄色い朝顔かという点が明かされるところである。つまりはずっと、なぜ黄色い...この感想を読む
蒲生蒼太
原発を生涯の仕事にすると決めた際に友人に語った場面