ロードムービーの評価
ロードムービーについての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が2件掲載中です。
各項目の評価分布
ロードムービーの感想
不器用だけど、自分の歩き方を探す人の背中を押す本。
『冷たい校舎の時は止まる』のスピンオフ的な作品とのことですが、そちらは未見の状態で読みました。他の作品でもそうですが、辻村作品ではスピンオフ作品にもちゃんと独自の緊張感、世界観が貫かれていて、ぐっと入り込むことができます。個人的に「道の先」がいちばん好きな話でした。少女のあやうさ、教師と教え子という関係を少しはみ出しそうな危なっかしさを残しつつ、成長痛のような部分を丁寧に描いていて、地味なお話ですが、とてもじんわりくる物語でした。全体的に、主人公たちは「自分」と「他人」をとてもわけて考えていて、独立した存在としての自分をとても大事にしている、そう思いました。今の日本において、それはとても困難な選択だと思うのですが…そういう「あるきかた」を描く作家の筆力に、信頼感を持てる一冊です。