モクシュラの意味は『愛する人よ、お前は私の血』って意味だ
フランキー・ダン
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ボクシングコーチと孤独な女性の栄光と挫折を描いた2004年のアメリカ映画。F・X・トゥールの短編集「Rope Burns:Stories From the Corner」を元にクリントイースト・ウッドが監督、製作、主演を務め、第77回アカデミー賞監督賞/作品賞他多くの賞を獲得した。 不幸で孤独な31歳のマギーは、自身の存在価値を証明したいと決意し、ロスの小さなボクシング・ジムの扉を叩く。そのオーナーフランキーは優秀なトレーナーだが、頑固で不合理な指導哲学からビッグチャンスを逃したばかり。けれど、マギーの熱心さと元ボクサーで掃除係のエディの勧めで、彼女のコーチを引き受ける。彼の指導と懸命さで次々と勝ち進むマギーだったが…。 単なるセクサス・ストーリーで終わらず、尊厳死まで言及したことで賛否が分かれた作品である。アカデミー賞ではマギー役「ボーイズ・ドント・クライ」のヒラリー・スワンクが主演女優賞、エディ役「ショーシャンクの空に」のモーガン・フリーマンが助演男優賞他数々の賞を受賞した。
イーストウッドが監督したということで、ずっと観たいと思っていました。最初は、さあ、これから成功への怪談を登っていく、最後は夢を達成してということかと期待していましたが、見事に裏切られた作品です。登場人物がそれぞれに本当に幸せだったのか、人間の心の奥にある欲望はどれほど深いのか、自分さえよければというその場しのぎの人間の浅はかさ、いろいろなことが描かれている作品だと思います。個人的には何回も繰り返して観たいと思うような映画ではありません。イーストウッドとモーガン・フリーマン、2人の名優に挟まれても存在感を十分にだしたヒラリー・スワンク、彼女の演技が光る作品だと思います。
これは人間には夢が無いと生きられないというお話。貧乏の中でヒラリースワンク演ずるマギーは夢さえあれば生きられると、人生の終わりを待つフランクに告げる。だから自分からボクシングを取り上げないでくれと訴える。男ばかりのボクシングジムでひっそりと練習するマギー。尊厳死を題材にした、人権屋さんからは攻撃されそうな題材を実に上手く感情に訴えるように作ってあります。イーストウッドは、自分がそろそろ終わりを迎えると言うスタンスに上手に立って、言いたい事を見事に伝えています。アメリカンドリームも在る、では最後の望みを叶えてやる尊厳もあっても良いではないかとたずねます。
途中まではスポ根映画かと思って見てましたが、違いました。一言で要約するのは難しいのですが…人間の尊厳のお話だと思います。ヒラリー・スワンク演じるマギーのガツガツした感じ、粗野で下品な感じが、とてもよく出ていて魅せられます。フランキーのコーチを受けられることは、彼女にとってはとてもすばらしいことですが、この映画はシンデレラ・ストーリーではないのです。サクセス・ストーリーのセオリーで、成り上がった主人公の周囲の景色が明るく、リッチに、バラ色になっていく、という演出は、この映画にはありません。後半、見ているのがとてもつらいお話ですが、とても、とても考えさせられる映画でした。フランキーに幸いあれ、と思わずにはいられません。
フランキー・ダン
全身麻痺で寝たきりになってしまったマギーは自らの死を願う。フランキーが病室に忍びこみマギーの生命維持装置を外す前に話すセリフ
フランキー・ダン
長年の友人である雑用係りのスクラップがフランキーに向かっていうセリフ