ミリオンダラー・ベイビーの感想一覧
映画「ミリオンダラー・ベイビー」についての感想が4件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
じっくりくる重いテーマ
イーストウッドが監督したということで、ずっと観たいと思っていました。最初は、さあ、これから成功への怪談を登っていく、最後は夢を達成してということかと期待していましたが、見事に裏切られた作品です。登場人物がそれぞれに本当に幸せだったのか、人間の心の奥にある欲望はどれほど深いのか、自分さえよければというその場しのぎの人間の浅はかさ、いろいろなことが描かれている作品だと思います。個人的には何回も繰り返して観たいと思うような映画ではありません。イーストウッドとモーガン・フリーマン、2人の名優に挟まれても存在感を十分にだしたヒラリー・スワンク、彼女の演技が光る作品だと思います。
日本でも尊厳死を認めよ きちんと楽にさせてやろうよ ドナーカードもよろしくね
これは人間には夢が無いと生きられないというお話。貧乏の中でヒラリースワンク演ずるマギーは夢さえあれば生きられると、人生の終わりを待つフランクに告げる。だから自分からボクシングを取り上げないでくれと訴える。男ばかりのボクシングジムでひっそりと練習するマギー。尊厳死を題材にした、人権屋さんからは攻撃されそうな題材を実に上手く感情に訴えるように作ってあります。イーストウッドは、自分がそろそろ終わりを迎えると言うスタンスに上手に立って、言いたい事を見事に伝えています。アメリカンドリームも在る、では最後の望みを叶えてやる尊厳もあっても良いではないかとたずねます。
スポ根ではない、人間の尊厳の話
途中まではスポ根映画かと思って見てましたが、違いました。一言で要約するのは難しいのですが…人間の尊厳のお話だと思います。ヒラリー・スワンク演じるマギーのガツガツした感じ、粗野で下品な感じが、とてもよく出ていて魅せられます。フランキーのコーチを受けられることは、彼女にとってはとてもすばらしいことですが、この映画はシンデレラ・ストーリーではないのです。サクセス・ストーリーのセオリーで、成り上がった主人公の周囲の景色が明るく、リッチに、バラ色になっていく、という演出は、この映画にはありません。後半、見ているのがとてもつらいお話ですが、とても、とても考えさせられる映画でした。フランキーに幸いあれ、と思わずにはいられません。
大作!人生を考えさせられます
アカデミー賞を各賞総なめにした巨匠クリント・イーストウッド監督・製作・主演作品。まさに大作である。一言で言ってしまうと「とても悲しい映画」である。映画館で公開当初観たのですが、なかなか席を立てなくなるほど重いものがのしかかったような感じがしました。スケールの大きい事を言ってしまえば「人生って何だろう」「人間って何のために生きているのだろう」と考えさせられる一本。自分の人生も見つめ直したくなるのでやはり前述どおり大作なのだと思う。それにしてもモーガン・フリーマンの存在感が凄い。イーストウッドも確かに凄いが、双璧をなしてモーガン・フリーマンが作品に色付けを上手くしている感じがしました。欲を言えば、音楽があまり合っていなかったように思えます。