バブルの暗部を鋭く抉り、本物の緊迫感で描く力作 「金融腐蝕列島 【呪縛】」
この原田眞人監督の「金融腐蝕列島 【呪縛】」は、恐ろしいまでの緊迫感に満ちた映画だ。この映画の舞台となっているのは、バブル期の矛盾が噴き出している大手都銀。検察の強制捜査が入るというところまで腐っているが、銀行の相談役(仲代達矢)ら上層部は責任回避に終始している。この状況下、業を煮やした中堅行員四人が立ち上がる。その中には、相談役の娘婿(役所広司)もいた------。この映画が非常に緊迫感に満ちたものになっている要因として、三つあると思う。まず、脚本の見事さだ。銀行、大蔵、マスコミなどが複雑に絡み合う状況を、明快に整理している点だ。それでいて、一本調子にならず、適度に入り組んでいる。これは、原作者の高杉良の脚本への参加で、一層のリアリティーが加わったからだと思う。第二の点が、映像の素晴らしさだ。例えば、ある場面のラストを通常より一瞬早く切り、次のシーンのクライマックスをつなぐ。この畳みかけるような...この感想を読む
4.04.0