幻色江戸ごよみの評価
幻色江戸ごよみの感想
江戸に生きる人々の息遣いが聞こえてきそうな本
題に、「江戸ごよみ」とあるように、12か月の12話で構成されている、時代物の短編集です。ハッピーエンドの話は少ないです。器量のぞみ、くらいでしょう。辛い終わり方が多いのに、全体の読後感は暗くなく、江戸の世に生きる庶民たちの力強さを感じます。また、庶民たちの生活の中に、時折、幽霊などの異界を挟んでいる事で、話の広がりを感じます。一話一話が、それほど長くないので、チョコチョコと読むのにも適している本でしょう。個人的には、庄助の夜着、首吊り御本尊、侘助の花、が好きです。庄助の夜着、侘助の花は、読後感が切なくて苦しく、首吊り御本尊は、嘘か本当か、真実が見えない所に良さがあると思いました。