村上春樹,河合隼雄に会いにいくの評価
村上春樹,河合隼雄に会いにいくについての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が2件掲載中です。
各項目の評価分布
村上春樹,河合隼雄に会いにいくの感想
注目の組み合わせの二人の対談。ちょっと時間が足りなかったかも…
日本の箱庭療法の権威、故・河合隼雄氏と村上春樹の対談集。「ねじまき鳥クロニクル」、「アンダーグラウンド」などを手がけた後の対談のため、春樹氏がよく使う「井戸を下りる」といったことについての話、オウム真理教事件の被害者・加害者との対話からの話など、興味深いネタが盛り沢山でした。…が、今一歩突っ込んだ内容には踏み込めていない感じがあります。春樹氏の発言は少し緊張が強めで、思わぬところを「しゃべらせられる」といった境地には至っていない気がします。下段欄外に傍注的な文章があり、それは親切でいいのですが、本文のなかでこの率直さがあれば…と何度も思いました。会う回数が足りなかったのが、深まりを欠いた原因かもしれませんね。この後お二人は再会することなく、河合氏は亡くなられてしまいました。もっと長く、量の多い仕事だったら…と悔やまれる組み合わせでした。