幸福な王子のあらすじ・作品解説
「幸福な王子」は、オスカーワイルドによる童話である。1988年に発表された。 この物語の主人公は、とある町に建てられた金箔で覆われた王子の像と、1匹のツバメである。王子の像は、目がサファイアでできており、剣の装飾にはルビーがあしらわれ、体は金箔で覆われていて、町のシンボルであり人々の自慢であった。王子の像は心を持っており、町に住む貧しい人々のことを心配し悲しんでいた。王子は自由に飛び回れるツバメに頼み、自分の目のサファイアやルビー、体の金箔などを貧しい人々に分け与えるようになる。やがて、金箔がなくなりみすぼらしい姿になった王子と、王子に仕えるために暖かい国へ渡ることを断念したツバメの亡骸は、町の人々によって焼却炉に捨てられてしまう。しかしながら燃えずに残った王子の鉛でできた心臓とツバメの魂は、天使によって「この世で最も尊いもの」として天国へ向かい永遠の幸福を手に入れるという、自己犠牲と博愛精神の物語である。
幸福な王子の評価
幸福な王子の感想
とても深い話
オスカー・ワイルドが書いた子供向けの童話ということになっている物語です。確かに子供の頃によく読んだり、読んでもらった覚えもありますが、そこそこの年齢になって読み直すと、大人の社会に対する風刺のように取れます。オスカー・ワイルドがただ単純にいい話を書くようには思えません。王子が金箔までツバメに剥がさして貧しい人々を助けようとしたのに、それによってみすぼらしくなった王子の像を平気で溶かして、自分の像を建てさせようとする議員たち。見た目が美しく、裕福そうであればちやほやするが、そうでなければゴミ同然に扱う、内面なんてどうだっていいのです。私たちの生きる今の社会でも、そんなことはないでしょうか。