氷川清話のあらすじ・作品解説
氷川清話は、幕末明治維新の江戸無血開城の立役者として知られる勝海舟の口話を、彼が晩年過ごした赤坂氷川の邸宅でまとめた本である。この作品のなかでは、勝海舟の胆力と合理性に溢れた人となりと、人間味に溢れた魅力的な口話が随所に散りばめられている。また明治幕末の歴史上の人物の逸話などが、彼独特の歯に衣着せぬ口調で語られている。この本の中には歴史のなかで起こった政局に関しての、勝海舟らしい痛烈な批判も数多く盛り込まれており、彼が勝海舟である所以とも言える、合理的でありながら豪快な人間臭さを感じ取る事のできる話を数多く読むことが出来る。 また日本と中国の関係においても、的確であるとともに、現代に生きる私達に胸からつかえがおりるような痛烈なメッセージを与えてくれる。 今なお現代ににおいて私達に強烈な印象を与えるこの勝海舟の口話本は、彼のスケールの大きさとどの時代に置いても重要な局面に必要となる、胆力と豪快さを認識させてくれるものとなっている。
氷川清話の評価
氷川清話の感想
海舟談話、痛快無比の「氷川清話」
海舟談話、痛快無比の「氷川清話」勝海舟の晩年は、殆どの時期を赤坂・氷川の地で過ごし、各種の著作物を著しています。「氷川清話」は、海舟が実際にあって話を交わし、人物に触れ、感に触った人物を談話集として著した著物です。その人物や人生について、それに当然ながらその人物の政治感などついてなど、種々なことについて語っているのです。これが実に面白く、痛快無比なんです。 何故かと言うと、彼の文法は、所謂、語り口、生まれ育った江戸弁で語るように著しているのです。勿論、一番弟子といいわれる竜馬のことは愛情溢れる言葉文体であるが、時に厳しくも見ています。龍馬が西郷を評するに“小さく叩けば小さく響き、大きく叩けば大きく響く、馬鹿なら大馬鹿で、利口なら大利口”としているが、その海舟が龍馬のことを“竜が西郷に及ばないのは、その大いなる胆識と大きな誠意にある”と喝破しているのである。あの戊辰の役で江戸城総攻撃の前...この感想を読む
勝の真実が伝わる一作
この氷川清話は実に多様な内容を取り扱っている。そこでここではその中の一つの章に注目してみたいと思う。私が取り上げたいのは人物評論という章である。そしてその中で恐ろしい人物二人として取り上げられているのは、西郷隆盛と横井小楠である。前者についてはやはりそうなのだなという感じがした。というのも言わずもがなで、西郷は維新の三傑とも言われているほどの人物であり、江戸城無血開城の際にも勝は西郷と交渉を行っているからである。その一方で、横井小楠が西郷と並べて挙げられているのが、私にとっては非常に興味深さを感じた。小楠は越前藩の人物であるが、その他にも橋本佐内といった有能な人物も輩出しており、その中で小楠は先駆け的な存在であったと言える。