海舟談話、痛快無比の「氷川清話」
海舟談話、痛快無比の「氷川清話」 勝海舟の晩年は、殆どの時期を赤坂・氷川の地で過ごし、各種の著作物を著しています。 「氷川清話」は、海舟が実際にあって話を交わし、人物に触れ、感に触った人物を談話集として著した著物です。 その人物や人生について、それに当然ながらその人物の政治感などついてなど、種々なことについて語っているのです。これが実に面白く、痛快無比なんです。 何故かと言うと、彼の文法は、所謂、語り口、生まれ育った江戸弁で語るように著しているのです。 勿論、一番弟子といいわれる竜馬のことは愛情溢れる言葉文体であるが、時に厳しくも見ています。 龍馬が西郷を評するに“小さく叩けば小さく響き、大きく叩けば大きく響く、馬鹿なら大馬鹿で、利口なら大利口”としているが、その海舟が龍馬のことを“竜が西郷に及ばないのは、その大いなる胆識と大きな誠意にある”と喝破しているのである。 あの戊辰の役で江戸城総攻撃の前に勝と西郷の会談が行われたのは有名だが、この時、勝は幕府方で、全ての権限を有する「軍事取扱い」に任じられている。対する西郷は東軍の総大将である大総督府参謀であった。 勝はこの会談で、“江戸の市民を一人たりとも殺してはならない”と言えば、“一存では決めかねるが、ひとまず総攻撃は延期しよう”と西郷が答え、江戸城無血開城が決まったのである。 勝はこの時の様子を「氷川清話」に載せているのです。 「おれはこれほどの古物だけれども、しかし今日までにまだ西郷ほどの人物を二人と見たことがない。どうしても西郷は大きい。妙なところで隠れたりなどして、いっこうその奥行がしれない。厚かましくも元勲などとすましているやつらとは、とても比べものにならない。西郷はどうも人にわからないところがあったよ。大きな人間ほどそんなもので・・・、」
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