フェアかつピュアに楽しみたい
最近まで放映されていたドラマの原作。 主人公は不慮の事故でパイロットの免許を剥奪された青年・空井。 異動した先は癖のある先輩達ばかりの、航空自衛隊航空幕僚監部広報室。 一方、TV局で報道局記者として働いていたが、情報局に異動してディレクターになった稲葉。 有川作品の中では少し恋愛要素が控えめで、夢を断たれてしまった二人の成長物語として読む方が良いかと思う。 しかしながら、丹念に取材されており、全く知識がなくても想像出来るほどによく「中」が描かれている。 自衛隊について、様々な意見はあるだろうが、そういうのは一旦脇に置いて、フェアに、ピュアな気持ちで読んでもらいたい。 また、作者が発行を遅らせてでも書きたかった「あの日の松島」。 3・11、何が起きたのかを現地にいた隊員の目線で知り、とても心苦しくなった。 「有事」とはかくも悲惨なものなのか。 しかし、比較的軽めの作品でありながら、ここまで思わせてくれるあたり、本当に良い小説だと思う。 ドラマも観たが、この小説を読んだ後に観て「良くキャスティングされているな」と思った。 小説を読んでからドラマを観て違和感がなかったので、おそらく既にドラマを観た人が読んでも充分楽しめるのではないだろうか?
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