記憶につながる料理
誰にでも、記憶に残る料理というものを持っているだろう。 あの人と食べたあの料理、あの日にこれを食べた、そんな風に思い出の中にある料理や、これを食べるとあのことを思い出す、この料理を見るとあの人を思い出す、そんな風に料理から思い出や人の姿を蘇らせることもある。 この作品は、そんな料理にまつわるエピソードを中心に作られた小説だ。 主人公のオーリィ君と彼を取り巻く人々、そして、食べ物。 オーリィ君はどうやらもともと食べることや食べ物に関心を持っていたようなのだが、ある日ふとしたきっかけで、『名前のないスープ』に魅せられてしまう。 オーリィ君はそのスープを自分の手で再現しようと必死になるのだが――。 食べ物に関する作品は、どれだけ読み手のお腹を空かせてくれるか、どれだけ読み手の食欲を刺激してくれるか、という楽しみがあるが、この小説は、料理の味や匂いではなく、それを取り巻く人々の雰囲気で、食欲を刺激してくれる。 思わず、自分の家の周りにもそんなお店がないか、探しに出かけたくなる話だ。
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