憑神のあらすじ・作品解説
憑神は、2005年9月22日に新潮社より刊行された、浅田次郎の小説である。 幕末の江戸に貧乏御家人である別所彦四郎がいた。文武に秀でているが、出世の道をしくじってしまい、今日食べる食事の小遣いもままならない状態であった。そんなある日、酔っ払っていた別所彦四郎は、小さな祠に向かって神頼みをしていたところ、神様が目の前に現れたのだが…。この神様は貧乏神であったのだ…。運に見放された男の生き様とは…。 この作品は、2004年9月号「小説新潮」から連載された。2007年6月23日には、降旗康男監督によって映画化され主人公の別所彦四郎役に妻夫木聡が起用された。舞台化もされている作品であり、2007年9月4日から26日に新橋演舞場、10月1日から25日に大阪松竹座にて別所彦四郎役:中村橋之助、おつや(死神):鈴木杏をキャスティングし上演された。脚本演出:G2、制作協力:G2プロデュース・クリームインターナショナルが担当した。
憑神の評価
憑神の感想
不器用な男のすばらしい人生
実直にしか生きられない男の悲しくも素晴らしい人生の物語です。三廻稲荷にお参りしたはずが、間違えて三巡稲荷へお参りしてしまい、貧乏神、疫病神、死神に順に取りつかれてしまいます。主人公は養父によって嫁家から追い出され、兄夫婦と両親とともに暮らしていましたが、才もあり、真面目で実直な性格であり、とても好青年です。なのに、運がない・・・・みていて本当に憎めないというか、むしろ助けてあげたくなります。きっと神様も同じ気持ちになったんでしょうね、人を変えて取りつき、結局主人公を助けます。最後の死神以外は・・・。自分の最後を決め、全うした主人公の最後をもう笑うことができなくなります。笑いあり涙あり、本当にそんなお話です。