すべてのキャラの生き様が輝いている1冊
『守り人』シリーズの第一弾なので読んだ方も多いと思いますが、私は大好きな1冊です。バルサを始め、登場人物たちがみんな実に個性的で生き生きとしていて、自然に物語に引き込まれてしまいます。魔物につかれたとして父親から命を狙われることになった皇太子チャグム、土着の呪術からその謎を解き明かそうとするトロガイ、優しく温かくバルサやチャグムを包み込む呪術師見習いのタンダ、そして、バルサの手伝いをしようとする少年やチャグムの命を狙う『狩人』と言われる暗殺者まで、まるで自分がその世界に入り込んでバルサたちと一緒に旅をしているかのような気持ちでどんどん読み進められます。作者が民俗学者ということもあって、バックグラウンドの世界観がすごくしっかりしているのも魅力的です。大昔に侵攻してきたヨゴ人と土着の人々ヤクー人、それぞれの精神世界がきっちり作りこまれているので、子供向けのファンタジーとバカにせず、大人にこそ読んでほしいと思います。
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