こんな検事がいたら最高!
初めて知りました
今まで、検察官という職業の事はほとんど知りませんでした。ニュースや新聞で目にする事はありましたが、具体的に何をしているのかというのは分からなかったし、どちらかというと刑事にとっては敵という印象でした。しかし、このドラマを見て、実は検察官が刑事よりも捜査権限がある事。検察官は単独でもその権限を行使出来る事を知りました。更に、事務官と呼ばれる方が秘書のように検察官を補佐するというのも、このドラマを見なかったら知る事はなかったでしょう。ドラマの中で検察バッジについて語るシーンがあります。夏の激しい陽射しと秋の冷たい霜を表現しているというそのバッジを、検察官の方達は誇りを持ってつけているのだと分かりました。ただ、脚本家の福田靖さんがヤメ検の弁護士に話しを聞いた所、本来検察官のお仕事は99.9%デスクワークで、久利生のようにお出かけをする事はないとの事で、ちょっと残念した(笑)。もし、検察官の方達が久利生のように捜査をしていたら、もっと様々な事件が素早く解決するのになと思いました。
シリアスの中にコメディ?コメディの中にシリアス?
中卒で補導歴もあるのに司法試験に受かり、堅苦しいスーツではなくダウンジャケットを羽織り、更には大切な検事バッジを無造作に持ち歩く。木村拓哉さん演じる久利生公平は、今までにないタイプのまさに新しいHEROでした。通販オタクで、いつも何かしら珍しい道具を使い周囲からは白い目で見られながらも、一度事件となればすぐに「お出かけ」をして、どんな小さなヒントも見逃さない。誰よりも弱者の味方になってくれる姿は本当に頼もしかったです。ただ、女心はイマイチ分からない見たいですけど。そんな久利生に振り回される雨宮舞子は、真面目を絵に描いたような人物で、トレードマークの黒縁メガネと、久利生とよく口論する姿が微笑ましかったです。演じられた松たか子さんはあまりコメディのイメージがなかったので正直驚きましたが、雨宮があれ程までにチャーミングな女性として見えたのは、松さんの演技力あっての事だと思います。そして、そんな二人の周りも実に個性的でした。自称「エース」の江上さんと末次さんの年齢差コンビは、いつも末次さんが小さくなっている印象ですが、時々立場が逆転になる所が面白かったです。末次さんは美鈴さんの事務官も兼任されていましたが、美鈴さんに対する態度がかなり可愛くて、想いが届けば良いなと、思いました。もちろん、かなり無理がありますが。だって、美鈴さんには芝山さんという彼氏が居るのですから。不倫ですけど。その芝山さんとの身長差コンビである遠藤さんは軽すぎますっ。あんなに合コンばかりで大丈夫なんでしょうか?そして、そんな彼らを束ねて居る牛島さんの気苦労と、久利生を優しく見守ってくれる鍋島さんという重鎮が居るおかげでドラマの方も引き締まります。ですが、やはり一番気になるのはあの人ですよね。そうですっ。バー「St.George'sTavern」のマスターです。どんな無茶苦茶なオーダーにも「あるよ」の一言と共に用意してくれるという器用さ。まさか寿司まで出てくるとは思いませんでした。久利生にとっては通販の良さを分かってくれる同士でもあり、店内ではいつも通販番組が流れていました。結局名前さえ分からなかったマスターですが、彼の存在力にかなう人は居ないでしょう。ドラマの内容も、殺人事件から結婚詐欺にストーカーの冤罪という身近な物が多く、久利生の法律関係の説明も的確で分かりやすかったです。終始シリアスが続くわけではなく、適度に笑えるシーンも入っていて、退屈しないでドラマが見れました。ですが段々シリアスの中にコメディなのか、それともコメディの中にシリアスなのか微妙になってきましたが。それに、久利生と雨宮、それに江上との三角関係も気になりました。三角関係といっても雨宮の答は分かってるんですけどね。三角関係ってドロドロした感じが多いんですが、『HERO』では爽やかな感じに描かれていて良かったです。最終回で沖縄に飛ばされた久利生を訪ねてきた雨宮に「おおっ。とうとう告白かっ」と思いましたが、結局日焼けの話題で終わってしまったというのが、何だかこのドラマらしくて良かったです。平均視聴率が34.3%というのも納得です。
これ以外には考えられない
主題歌となった宇多田ヒカルさんの「CanYouKeepASecret?」ですが、こんなにピッタリと合う曲はありません。特に出だしの「近付きたいよ。君の理想に。おとなしくなれない」という歌詞は雨宮さんの久利生さんへの気持ちを表しているようで、聞く度にキュンとします。歌番組で時々聞く度にドラマを思い出すのは私だけではないでしょう。主題歌というのは時にタイトルよりも大事なのかもしれません。主題歌が悪いだけで見る気をなくす場合だってあるのですから。そういう意味ではこの『HERO』の主題歌は、大成功と言えるでしょう。
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