無残なまでの純粋さと一途さが清々しい哀愁を呼び起こす
暗躍する政治家と純粋無垢な武官近代国際国家の仲間入りを焦る大日本帝国にとって、初めての大々的な対外戦争であった日清戦争の大義名分は「独立国家としての朝鮮国の確立」であったが、実情は極東アジアの利権争いである。近代的装備を有していた日本が、旧態然とした清国軍に戦争を仕掛けるのは、高校生と小学生の相撲のようであったに違いない。そのことが分かっていながら、自国の優位性を視野に傍観したイギリスやロシアなどの西洋列強国との交渉を担う政治家たちの暗躍は、特に小村寿太郎(竹中直人)辺りの描写がなかなかスリリングである。ことに、南下を目指すロシアとの対立に備え、イギリスと手を組もうとするあたりは、現代日本の政治家たちの姿も垣間見えて興味深い。戦争回避に向け、ロシアとの協調協商を目指した伊藤博文(加藤剛)だったが、山縣有朋(江守徹)という同郷出身政治家に敗北する形で断念する。この辺りは史実であり、加筆修...この感想を読む
4.04.0
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