愛され続ける3つの理由
脚本は至ってシンプルだし、演出もあまりされていない気もするのだが、何故ゆえ不良少年のバイブルとなり、アメリカン・ニューシネマの金字塔とまで言われるほど世界中で愛され続けているのだろうか?
(社会情勢)ヘイズ・コード撤廃とアメリカン・ニューシネマ
ベトナム戦争によるフラワームーブメントなどの反体制的な運動が活発化したことにより、過激な暴力描写や性的表現を厳しく規制したヘイズ・コードと呼ばれた検閲制度が崩れ、撤廃された。そして従来の大予算で利権まみれだった娯楽大衆的な作品ではない、低予算が故にオールロケでラフな撮影スタイルだが、逆にリアルで力強く、反体制的でいて自由な作品だからこそ未だに愛され続けているし、これからもたぶん愛され続けるだろう。
(ファッション)作品をより深いものにしたアイテムたち
胸元には米国防長官のバッジ、背中には星条旗が縫い付けられたABC Custom Leather製シングルライダース。ヘルメットとガソリンタンクにも星条旗がペイントされた、1965年型パンヘッドのロングフォーク・チョッパーに跨がるワイアットスタイル。相方のビリースタイルはというと、テンガロンハットに牙のインディアンジュエリー。フリンジ付きのディアスキンジャケットを纏い、フリスコスタイルの1959年型パンヘッド。ちなみにワイアットの腕時計はロレックスのGMTマスターであったはずが、腕時計を捨てるあの名シーンでは違う時計に差し替えられていたのは、デニス・ホッパーの私物だった為、傷つくのを拒んだからと聞いたことがあるが、本当か嘘かはわからない。それから、ライダースの中の前身とカフスにチロリアンテープが縫い付けられたオフショルダーシャツも堪らない。それから…と挙げたらキリがないのだ。武骨でカッコイイファッションがあったからこそ、ここまで長い間愛され続けられる映画になったのではないだろうか?
(音楽)抜群の選曲センス
スクリーンに流れる音楽は、ピーター・フォンダがボブ・ディランからアドバイスを受けていて、それを参考に選曲していたらしい。先ほど書いた、腕時計を捨てて旅立つ名シーンに使われている、ステッペン・ウルフのBorn to be wildはこの作品の象徴とも言えるだろう。未だにテレビ番組などのツーリングシーンなんかで使用されているのを良く耳にする。ちなみに音楽を際立たすために、台詞と被せなかったらしい。
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