人間って勝手だな。だけど…と思う本 - 獣の奏者の感想

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獣の奏者

5.005.00
文章力
5.00
ストーリー
5.00
キャラクター
4.25
設定
5.00
演出
5.00
感想数
2
読んだ人
5

人間って勝手だな。だけど…と思う本

5.05.0
文章力
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
4.0
設定
5.0
演出
5.0

3巻で追求し解き明かされた闘蛇の謎と、リョザ神王国の政変、それに巻き込まれるエリンとイアル、ジェシの運命の行く末が明らかになる最終巻。 どんな話?ときかれても、一言で要約は不可能な緻密で複雑な話が、こんがらがりつつも、確かに「結末」と呼べるものを迎えます。 ハイ・ファンタジーであり、おそらく作者は意図していないであろうけれど、文明批判とも取れるお話になっているのは、作品がとても良質なものであることの証左でしょう。 出てくる生物たちはみな、その種の持つ特性を、言って見れば人間にいいように利用され尽くしています。 主人公が最も憂えているのは、「生き物たちが、あるがままに生きることを許されない」ことであるわけです。 実に、現実の縮図のように、愚かな思惑が錯綜し、嫌なモノが横行する話のなかで、主人公が「正義」でも「大義」でもなく、生物たちのために必死になる姿が、実に眩しい作品です。

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