ネバーランドを見て感じたこと - ネバーランドの感想

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ネバーランドを見て感じたこと

3.03.0
映像
3.5
脚本
3.0
キャスト
4.0
音楽
2.5
演出
3.5

目次

夢と現実の狭間で・・

この映画は、おとぎの国のような夢の世界と、厳しい現実の中で生きる親子のお話です。2004年にアメリカ・イギリスにおいて製作された映画です。そんな親子にとって、王子様のような存在となるのが劇作家役を演じるジョニー・デップ。とはいえ、彼にも家庭があったため、このおとぎ話の影で悲しむ存在があるということからも、目を反らすことはできません。しかし、彼の妻は彼にとって最高に理解者であったため、嫉妬に苦しむ姿が多くなかった事が幸いです。厳しい現実の中で生きるのは若き未亡人と4人の息子たちがいます。彼らもまた、明るくその人生を生きていました。しかし、その影で、父親の死で悲しみに暮れる少年がいるということからも目が離せません。未亡人役は、あの「映画タイタニック」で名を馳せたケイト・ウィンスレットが演じます。ケイト・ウィンスレットも、ジョニー・デップも今より若いときの姿を目にすることができます。そして、年月が経っても、彼・彼女がシネマの中で活躍している現実を改めて感じられるのです。このように名俳優たちの旧作を時折見返すことで、新鮮さが感じられます。売れない劇作家が大成功を収めることになった作品「ピーター・パンは、大人も子供も知っている人が多い作品ですね。この映画は、ピーター・パンのモデルとなった少年と、物語が誕生するまでを描いています。そして実話に基づいたお話であるという点も興味深い点です。その世界は、まさしく夢の世界、ネバーランドというファンタジーの世界です。子供も大人も夢見ることができるその世界が誕生するまでの道のりを楽しむことができます。そして、悲しい生い立ちの中であっても、ファンタジーの世界が傷ついた心を癒してくれるという可能性を感じさせてくれます。

運命の皮肉さと美しさ

劇作家と未亡人の出会いは運命だったといえます。そしてそれは、さまざまなハンディを乗り越えるほどの強いものでした。子供が4人いること、劇作家には妻がいるということ、そして未亡人は若くして病魔に犯されていたということが後に分かります。また、周囲からの冷たい視線や反対も彼らにとって障害となったはずです。それでも、最後の最後までお互いの気持ちは変わらないものでした。このような男女の関係は、「不倫」と呼ばれます。それは、許されない関係です。同時に劇作家の妻の切なさも感じ取れます。しかし、世の中には「不倫」や「略奪」をもって生涯を共にするカップルは五万といます。映画にするとその純愛は美しく、ましてや子持ちの母が亡くなるともなれば、批判より同情が先にたってしまいます。この映画の最後は、劇作家である彼が身を引くのではなく、子供たちの養育を引き受けるというものでした。ここで、彼は本当の王子様として評価する人も多いでしょう。ですが、その受け止めかたは人によって異なるはずです。彼は、自分の癒しを子供たちに求めたという見かたもできます。そして、彼の中にある何かとも関係しているように思えます。このように、色々な愛のカタチがあり、それは時として皮肉だと感じました。

ファンタジーの世界がもたらすもの

色々な映画をみていると、心に何らかのキズを持った子供が、ファンタジーの世界にのめりこみ、その世界に癒されるという場面を多く目にします。この映画の中でも、子供の一人ピーターがその世界に救われます。それを教えたのが劇作家の彼でした。父を失い、そして母も失うことになる不安の中で、幼い少年が大人を疑い、反発するシーンがあります。そのシーンの中で演じる彼の姿に、見ている側は胸が苦しくなります。特に、子を持つ親なら尚更のことと思います。そして抱きしめて守ってあげたいと思うのです。世界中には、親を失う悲しみを体験する子がたくさんいることと思います。ですが、その悲しみの中で、ファンタジーの世界を作り上げる楽しみを教えることができるということを知りました。ファンタジーの世界は、色鮮やかで美しく夢と希望に満ちています。正義と愛、そして勇気と冒険の世界。この世界が、いつまでたっても輝いて見える大人でありたいと思いました。死後の世界がファンタジーのように美しい場所であるということが、残された者にとっても、死を間近に控えた者にとっても信じられるなら、これ以上の救いはないとすら思えます。世界中の子供たち、そして大人たちに見て欲しい映画です。ファンタージーは、単なるおとぎの国のお話ではなく、世界に平和と希望、そして愛をもたらすものであるということを感じさせてくれる映画でした。欲を言うならば、目を閉じても浮かぶような美しい自然のシーンをもっと見たかったです。第77回アカデミー賞で、7部門ノミネートされ、作曲賞を受賞しています。映画にピッタリの曲であったということが分かります。曲はポーランド出身の作曲家によるものです。他にも多数の作品において、彼の曲がつかわれています。

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