とにもかくにも画の美しさが圧倒的!
とにもかくにも画の美しさが圧倒的!
CLAMPは、高河ゆんを始めとしたいわゆる「WINGS系」という一ジャンルを担ったユニットです。初めて読んだのはもう20年以上も前のことになりますが、当時はその圧倒的な画力に度肝を抜かれたのをよく覚えています。CLAMPの前にCLAMPなし、CLAMPの後にCLAMPなしと今でも思います。作画担当のもこなあぱぱ(現・もこな)さんは美大のご出身だそうです。納得。どのキャラクターも表情豊かで美しく、城などの建築物や衣装、装飾品に到るまで見ていて飽きません。この作品のイラスト集が「非天夢魔(ひてんむま)」というタイトルで発売されており、私も持っていますが、今でも手放す気にならないくらいの愛蔵書となっています。中にはもこなさんによるセル画などもあり、画の幅の広さが伺えます。今でも中古市場には出回っているはずです。
救いがあるようでやっぱりないストーリー…?
そのラストには「みんな死んで終わり」と揶揄する声もあったと記憶していますが、主人公2人を除いてみんな、本当にみんな死んでしまうのが、当時の自分にはショッキングでした。最後の最後で夜叉王は阿修羅との約束は守るわけですが、他の人はみんな天界では幸せになれなかったという救いのなさ。特に迦陵頻伽と迦楼羅王の姉妹は気の毒でした。ストーリーに直接関係はありませんが、この作品の登場人物の名前を覚えることで、神話にちょっと親しみを持つことができました(笑)。そうでなければ、高校生が乾闥婆王だの愛染明王だの覚えることはあまりないのではないかと思います(笑)。
少女向け漫画の概念をひっくり返した秀作
それまでの「りぼん」系や「ちゃお」「なかよし」等の少女漫画とは全く一線を画した作品だったと思います。(「WINGS」自体がそういうテーマの雑誌だったかもしれませんが…)色恋沙汰もあるようでない、同性愛あり、子殺しあり、自殺あり…決して中学生や高校生が読むべき内容ではないのかもしれません。しかしながら、それがある意味リアルな現実世界であり、「救われるのは決して当たり前ではない」という真実をドンと突きつけてくれます。まあ、中二病を促進する危険も無きにしも非ずですが(苦笑)、CLAMPはその後にさらに救いのないストーリーの作品(「東京BABYLON」「X」など)を発表されているので、この作品はまだ彼女たちにとっては優しい方だったのかもしれません。
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