青い車のあらすじ・作品解説
青い車は、1996年に単行本がイースト・プレスから刊行された、よしもとよしもとの短編作品の一つである。原作者のよしもとよしもとは、ニューウェーブバンドの影響を受けた絵柄と狂騒的なギャグを展開する作風であったが、青少年の感情を描写するようになり、次第に完成度の高い短編作品を多数出す寡作として知られるようになった。代表作でもあるこの作品は、発狂寸前の若者の感情を物静かな描写で描き、青少年の共感を生んだ。また絵柄が少年漫画と少女漫画の中間になってきた。単行本は全1巻。 主人公の少年リチオは、10歳のときに事故により死をさまようが九死に一生を得る。しかし顔が変形しサングラスで目の傷を隠しながら生きていくことになる。言いようのない苛立ちや孤独感を抱え、心を閉ざした青年のやるせない感情を描いたヒューマンドラマである。 2005年に漫画を原作にして、監督奥原浩志が映画化した。なお漫画のタイトルはスピッツのシングル曲のタイトルから抜粋している。
青い車の評価
青い車の感想
「神様なんてクソくらえ」
寡作が代名詞となりつつある、よしもとよしともの短編集。全編を覆うのは登場人物が口走る「神様なんてクソくらえ」のひとことにつきる。命を落とす側、生き残る側、添い遂げるひととそうでないひと、ラッキーとアンラッキーが妙な配合でとぐろをまくこの世の中で、ちっぽけに暮らす人達のスティル・ライフを描いた佳作がそろってます。漫画としてはとてもきわどい表現をとっているともいえる一冊(徹底的に「書かない」ことで表現しているものがある、と思う)ですが、同時に、こうした作品はよしもとよしともにしか描けない、本当に唯一無二のものだと思う。浅野いにおが好きな人で、未見だったらぜひ読んでみていただきたい。彼ほど直接的でなく、見えないところでぐさっとくるだろうから。