納得のいかない結末
ヒロインのスペックが高すぎる
今作のヒロインの香澄は、少女マンガの嫌いなヒロインランキングの常連ですが、私も好きではありません。まず、童顔・背が低いという幼い外見をしながら、巨乳というなんとも羨ましい設定。男性が守ってあげたいと思わせる外見をしつつ身体は成熟した大人では、それはもてますよね。その上、どんなにバカをやっても自分を溺愛し続けてくれる男性がいる。由貴や和樹は香澄にメロメロで、。そして、自分が守られているというその立場に甘えて、軽はずみな行動ばかりをとります。相手からの愛情を受けるだけ受けて、当の本人は受け身の姿勢です。これは女性の反感を買いますよね。
セリフがまぎらわしい!
由貴のセリフが、とにかくまぎらわしいです。普通の言い方をすればいいものを、わざわざ誤解を生むような表現をします。香澄と由貴をすれ違わせるための演出なのでしょうが、毎回毎回勘違いして突っ走ってしまう香澄には読んでいて疲れました。ただ読んでるだけの私が辟易とするくらいなので、振り回される由貴本人は、香澄に嫌気がささないのでしょうか?由貴に訊いたら「本当に姉さんには嫌気がさすよ・・・こんなに俺を夢中にさせるんだから」という返事が聞けそうですが・・・。物語を面白くするためのエッセンスだと思えば仕方ないのですが、香澄があと30秒長くその場に居て、由貴のセリフの続きを聞いていれば、こうもすれ違うことはなかったのにと思うと、読んでいてイライラしてしまいました。
疑問だらけの結末
物語の最後が疑問だらけですっきりしません。ぱっと見ると、最終的には二人は結ばれて・・・という形に見えます。読者の感想などを読んでも、最後は二人が会えて良かった!という意見が多いです。しかし、これは香澄の見た幻覚なのでは?と思っています。まず、飛行機事故死したはずの由貴が、実は荷物を盗られていて遺体は別人だったという設定です。イタリアの約束の場所で再会後に由貴がこのように話していますが、これは香澄の願望が生み出した辻褄合わせのセリフに聞こえます。香澄以外に母親も、由貴の遺体を確認しているはずなので、別人であることなんてあるのでしょうか?遺体の損傷が激しく外見で判別できない場合もありますが、帰国後に歯型の照合などを行いますよね。その上で由貴であると確定し、お葬式をあげていると思います。また、お葬式などの場面は夏頃のような服装・風景の描写ですが、香澄と由貴が約束の地で再会を果たすのはクリスマスあたりです。パスポートが盗難にあったとしても、いくらなんでも期間が空きすぎではありませんか?また、この「パスポートが盗難にあった」という設定ですが、これが本当ならば、由貴はとっくに現地の日本大使館に駆け込んでいて、事故死したのは別人であると大使館の方で連絡してくれるはずです。個人的には恋愛物語はハッピーエンドで終わってくれる方が好きなのですが、この結末は矛盾点が多いため、素直に喜んで読めませんでした。
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