ゲームが原作の和製スチームパンク
ゲーム版とはちょっと違う
サクラ大戦といえばプレーヤーが大神隊長として、敵を倒しながら隊員たちと仲を深めてゆく、そんな恋愛要素のあるアドベンチャーゲームです。そのTVアニメが本作品ですが、本編であるゲーム版とはちょっと違う、まるでパラレルのような作品です。
過去に囚われて内気なアイリス、さくらがメイン、魔操機兵や脇侍のデザイン、戦闘スタイル、作風など多くの違いがあり、ゲーム本編が好きな方にはなかなか受け入れられづらかった印象があります。
あくまでもパラレル、現実味を持ったバージョンであると考えたほうが楽しめると思うし、制作陣もそれを意図しているのではないかと考えます。
それぞれの過去
性格が“人見知りで内気”に変わってしまったアイリスですが、それは過去回想が物語にしっかり含まれていたからであると思います。強すぎる霊力を周囲に恐れられ、家族ともろくに触れ合えず、人形を友達にしていた暗い過去が、アニメ版アイリスには強く影響を与え、さくらや大神、隊員たちと絆を深めゆく過程が描かれているように感じられました。
また、マリアも同様に改変があり、突然隊長となった大神に対抗心を燃やし、甘さを厳しく指摘する場面があります。火喰い鳥時代を踏まえた、冷徹さや厳しさを感じました。
彼女らの過去を考えると、こういう暗く重い過去を背負った帝国華撃団もありうると思うし、キャラクターや帝国華撃団が団結する過程をより深く魅せるために、制作側は組み込んだのではないかと考えられます。プレイやシナリオを楽しむゲーム版に対し、キャラクターやストーリーを楽しむアニメ版、といったところですね。
帝国歌劇団の人間
帝国華撃団として悪を倒す彼女たちはあくまでも舞台に立つスタアなのであり、戦いから帰ってくる場所は舞台です。待っているお客さんや演じる役、があるからこそ彼女らは帰ってくるのです。アニメでは彼女らの普段の姿であり、帰ってくる所である帝国歌劇団をしっかりと描写しています。
帝都を守る英雄である以前に一人の役者であり、一人の女性であるところに光が当てられ、帝劇に立つプライド、練習にひたむきに打ち込む姿、主役として立つ舞台、が素晴らしく繊細に扱われています。
出自は様々あれど、帝劇の構成員であり、誇るべき立場であるのです。その、彼女らの現在の半分を構成する帝国歌劇団の部分がきちんと描かれているのは、良い点であると思うし、彼女らを描くにはとても大切な要素であると思います。
側面としてのアニメ
やはりサクラ大戦シリーズのメインはゲームであり、本編です。アニメは本編というよりも、本編で描き切れなかった部分やifのストーリーを描いているのだと思います。
結果はどうであれ、アニメ、ゲームすべてがサクラ大戦シリーズの要素であり、形作る部品であるのでしょう。
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