前作シリーズからの変化について考察
サブタイトルについて考える
前作シリーズは「おかわり」で、今作シリーズは「おかえり」です。
平仮名で記載され、分かりづらいですが、三文字目の「わ」と「え」が違うのです。当然のことながら、「おかわり」と「おかえり」では言葉の意味することも違います。そして、「おかわり」の意味すること、「おかえり」の意味することに、類似性も連続性も見受けられません。
これは、意図的に平仮名表記されることで、もじり要素であることが伺えます。
「おかわり」という言葉に似た響き、似た言葉を選び、「おかえり」という言葉が選ばれているのだと考えられます。一般的なアニメシリーズによるサブタイトルとは違った考え方で、サブタイトルが名付けられているのが印象的です。
そして、アニメ制作スタッフや原作者における個性的なセンスや、作品に対する思い入れを感じられるポイントなのだと考えられます。1、2、3といった安直な数値表記でもなく、サブタイトルの命名にも工夫されていることが分かる事実です。
キャラクター配色の変化が意味するもの
前作シリーズでは、千秋より春香の方が、髪色が明るかったです。
しかし、このシリーズ「おかえり」においては、髪色に逆転現象が起きています。前作シリーズの「おかわり」と見比べてみると、明らかな違いを感じられます。
何故、このような変更がされたのでしょうか。
最初は、制作スタッフが配色を間違えているのではないか、と考えました。しかし、本編を観ると、意図的に変更したようにも感じられるのです。本当の部分は、制作スタッフの話を聞いてみないと分からないことです。しかし、私が意図的な変更と感じられたポイントは、アニメ全編における春香と千秋の存在感です。
この「おかえり」においては、春香の存在感は弱くなっているように感じられます。そして、逆に千秋の存在感が強くなっているように思います。存在感という曖昧な言葉で表現するより、具体的な言葉で表した方が良いでしょうか。
アニメ本編において、春香の登場している時間が短くなっているのはないでしょうか。そして、逆に千秋の登場している時間が長くなっているのではないでしょうか。
実際には、正確に時間を計測したわけではありません。あくまで体感的なものですが、明らかな変化として、感じられるものです。
私は個人的に、三姉妹の中で春香が、最も好きなキャラクターです。
だからこそ、敏感に気付けた変化なのかもしれません。
三姉妹における焦点の当り方が、千秋に置かれているように思えます。次いで、千秋との絡みの多い夏奈も、登場している時間が長くなっているように感じられます。千秋と夏奈、そして、長女の春香という区分けができているように思えないでしょうか。
そして、当項の冒頭で記載している髪色の変化において、それが意図的にされていることの意思表示のように思えるのです。春香の存在感や焦点の当て方を弱く、千秋に舵を切った作品づくりがされているように思えます。
そのことで観る層として、対象年齢の設定も下げたのではないでしょうか。
本編の内容自体は、ギャグ要素が強いもので、中高学年や大人が好んで観る内容ではないといえます。小学生の子供を対象にした「ちびまる子ちゃん」に近いものがあります。
髪の色、ひとつに着目してみても、それが意味するものは制作スタッフの対称としている年齢設定が表れているのだと考えられます。
千秋の変化における考察
千秋においては、髪色だけではなく、アホ毛のような逆立った髪の毛にも変化がみられます。
前作「おかわり」シリーズまで、犬の尻尾のように、千秋の機嫌を示唆するものとして用いられていました。しかし、「おかえり」シリーズでは、そのような描写は見られなくなりました。髪の毛により、千秋の機嫌を表すような描写を廃止してしまっているのです。原作コミックを読んだことはありませんので、どちらの描写が原作に忠実なのか、分かりません。
しかし、「おかわり」から、描写が明らかに変化していることは間違いありません。
そして、そのことで千秋の感情表現が弱くなってしまっているようにも感じられます。
しかし、感情表現が弱くなった分、逆説的に、現実社会の人間に近い描写がされているともいえます。リアリティーの強い描写がされるようになったことを指している明確なポイントだと考えられないでしょうか。
春香の変化における考察
髪色の他にも、春香においても、少し変化しているように感じられます。
それは、胸の大きさです。
春香においては、前作シリーズより明らかに巨乳になっているのではないでしょうか。確かに胸は、しっかりボリュームのあるキャラクターでした。しかし、巨乳キャラクターではなかったように思うのです。ただ、ボリューム感は明らかに増量されているように見えます。明らかに、そっちの方向に、シフトしている描写がされています。そして、アニメ本編における描写においても、揺れることを意識した描写がされており、意図的に強調していることも明らかです。
胸の大きさや強調を、キャラクター自身の魅力を上げることに直結して考えられているのではないでしょうか。人の好みにも左右されますが、概ね大きな胸が好きな男性層は多いと考えられます。大きい胸が好まれるのが、一般的な日本における風潮だといえます。
すなわち、胸を大きくすること、強調することで春香というキャラクターを魅力的にしようとする意図を伺うことができます。
アニメ本編の内容は、対象としている年齢層が下がったように感じられます。しかし、この点においては、少し高めの年齢層を意識している描写なのではないでしょうか。
夏奈の変化における考察
千秋、春香と外見における変化を記載してきました。しかし、夏奈においては、外見からの変化を感じとれません。細かい髪色や配色の変化はあるのかもしれませんが、これまで述べてきたような大きな変化とは感じられません。
しかし、折角なので、夏奈における探してみました。
もちろん、外見という観点からの間違い探しは止めておきました。夏奈における変化は、内面に注目していきたいと思います。これまで、周囲を巻き込むパワーと、自己中心的な態度が印象的でした。そして、「おかえり」においても、その方向性は変わっていないように思えます。
しかし、その度合は明らかに弱くなっているように感じられないでしょうか。
電話で呼びつけ、騒ぎを大きくするようなことは少なかったと思います。
前作「おかわり」シリーズの中で、その点を春香に怒られていた場面がありました。
度合が弱くなったことは、夏奈における成長として捉えることもできます。
夏奈においては、外見部分ではなく、内面部分を成長させることによって、キャラクターの魅力を打ち出していこうとする意図を伺うことができます。
他の変化・違いについて
1話の区切り方が、3部構成になっていることが、前作からの変更点です。
そもそも、原作コミックにおいても、1話あたりが短い作品だそうです。短く区切った構成の方が、アニメ化しやすかった背景はあったのかもしれません。原作の魅力を伝えやすい構成に変更したといえます。
また、三姉妹における関係性の変化でいえば、千秋と夏奈に焦点が当たることが多かったのは、前述の通りです。
そのことから千秋と夏奈の関係が仲良く映ったのも、変化といえるのではないでしょうか。また、仲が悪かったイメージを払拭する狙いもあったのかもしれません。特に、最終回の話で、千秋は夏奈から離れようとせず、ずっと、ひっついていました。
千秋のキャラクター性を考えた時、この行動は意外なものです。
最終回の内容は、千秋と夏奈の関係の変化を如実に表しているように感じらます。
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