良いキャラと主人公目線のパターン展開の面白さ
登場人物が面白い。
王子のイヤミなキャラはホントにイライラさせてくれました。言動のひとつひとつが不快感を誘い、すすむにつれて、木村と同じように殺意が芽生えた程です。
また、キャラとして果物の蜜柑と檸檬が良いです。
こちらは、殺し屋のはずなのに面白さのあるキャラで、特に機関車トーマスを軸に会話がすすんでいくところは、2人が殺し屋というのを忘れさせてくれました。
果物2人は好きなものや性格がバラバラなのに、トーマスや文学を通じて会話が成立していたり、意思疎通も出来ているのは面白く感じた。
読んだことのないパターン
私はグラスホッパーより先にマリアビートルを読みました。
そして、このようなパターンの小説は初めてだったので、読み始めた時はメインキャラを探すのも面白いと感じた小説です。
初めは木村から物語が始まるため、通常の小説の場合は木村が主人公に思うのですが、実際ストーリーが進むにつれて王子や果物、天道虫など人物が増えました。
しかも、それぞれが主人公となり、主人公目線で話が進んでいくため、どのパターンを読んでも臨場感がありました。
ラストの王子や天道虫、木村の両親などが会話するシーンも、各々の視点から現在の心境が描かれていて新鮮でした。
同じシーンを別の人物の視点から読み返すことのできる、このパターンはとても面白く読むことが出来ました
個人的には果物と天道虫が対峙するところは良いパターンでした。
蜜柑が七尾を探すため、順番に車両を検査していくという場面で、まずは果物パターンの蜜柑視点から車両内のおかしな点など状況を一通り見せて七尾が居ない状況を説明する。
そして、そのあと天道虫パターンで七尾がとった行動を見せると言うのは、読んでいて居なかった理由の説明と臨場感などが味わえて「なるほどな」と感じました。
予想外の展開
このマリアビートルはグラスホッパーの続編にあたるため、グラスホッパーを読んでいれば登場人物もある程度分かったのですが、私はマリアビートルを先に読んだため、ラストの興味はとてもありました。
登場人物はたくさんいるのに、その中で王子が悪者だと気付くものが現れても、殺し屋同士で殺し合ってしまい王子がどうしても死なない状況なので、ラストはとても興味深かったです。
ラスト近くなり、鈴木や槿が何か行動をとって、王子を殺すのだろうと思っていたところに、木村の両親が出てきて意外性を感じました。
これは私の中で予想外の展開でした。
また、病院の木村の息子についても”繁”という、早めに登場していたのに新たな人物によって救われたことも意外性があり驚きました。
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