最初から最後まで騙しあいの攻防 - ミッション:インポッシブルの感想

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最初から最後まで騙しあいの攻防

5.05.0
映像
5.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

プロが駆使する心理作戦

最初から最後まで誰が味方で誰が敵なのかわからない状態が続きます。誰もが人をあざむくプロなので仕掛けまで巧妙です。死んだと思わせたり、仲間だと思わせたり、敵だと思わせたりといろいろな策が練られています。しかしどの策にも共通しているのは人の心理を利用した作戦です。「敵を騙すならまず味方から」と言われます。しかし、この状態では誰が本当に味方なのかわかりません。ではまず誰を騙すのでしょう?この場合はどれだけ自分を騙せるか(思い込むことができるのか)ということが重要となるでしょう。

騙されないということだけでなく、騙されていることを知っていながら相手の動向をうかがうというのもプロの技なのでしょう。イーサンは最初のミッションで自分たちのほかに別のCIAも動いていたことを認識しています。しかし仲間を失うまでなぜ他のチームが動いているのかわからなかったため、そのまま様子を見ていたようです。自分たちを見張っていた他のチームがあるにもかかわらずメンバーを一人にできたのは、たとえ他のチームとはいえ同じCIAのチームが自分たちを殺すとは思っていなかったからでしょう。

限界点ギリギリの攻防

心理戦もそうですが、なんといってもこの映画の見どころは絶妙なタイミングで行われる実際の任務です。「本当に寝返ってしまったのでは?」と思わせるほど、自分たちの持てる技術を駆使しています。CIAから本物のリストを盗み出したり、本物を相手に渡し取引に利用したりしますが、それは絶対に流出されない方法をイーサンたちが握っていたからこそできた作戦なのでしょう。ネットで手に入れた情報を流出しようとするマックですが、ルーサーの妨害電波のため送信することができません。キトリッジに見つからないように妨害電波はそのままで席を離れるルーサーですが、仕事熱心な鉄道職員のせいでマック以外の乗客のネット回線が切れてしまうところは、これぞアメリカンブラックジョークという感じです。そのあとのトンネルで再度送信できなくなるタイミングは、絶妙といったところでしょう。

イーサンをはめるには作戦があまかったジム

イーサンはジムが裏切り者だったのではないかと疑っていたようですが、彼が姿をあらわしたときそれが確信にかわったのでしょう。見ているほう側からしてもジムの殺され方は不自然で、ジムほどの腕があれば最後カメラでイーサンに見せるのは、自分を撃った犯人で撃たれた自分の姿ではないと思うからです。しかも時がたっているとはいえ、瀕死の状態で川に落ちたにもかかわらず登場した姿があまりにも無傷な感じで「あの血はカムフラージュ?」と考えると、ジムへの疑いが確信に変わっても不思議ではないでしょう。最初の作戦が犯人をおびき出すための作戦だと知っていた場合、イーサンを犯人に仕立て上げれば、汚名を晴らすために本物のリストを手に入れてくれると考えたのであれば、イーサンはそのワナにまんまとひっかかったというところでしょう。しかし、敵をおびき出すためにわざとひっかかったふりをしていたのであれば、一番のまちがいはイーサンを敵に回してしまったところだということになります(そうはいってもリストを売るための味方にはならなかったでしょうが)。

一番の被害者は彼?

ここでの被害者は何といってもウィリアム・ダンローでしょう。彼はCIAメンバーのリストを管理している人ですが、イーサンたちのため散々な目にあってしまいます。まずクレアに吐き気をもよおすような薬をもられ、トイレと洗面台の間を行ったり来たりすることになり、やっと落ち着いて席に戻ってみれば机にナイフが刺さっていて、リストが盗まれています。とどめにこの責めを負ってアラスカに飛ばされてしまいます。

彼が唯一ミスを犯したといえば、コーヒーから目をそらしてしまったということだけでしょう。それも許されないミスだとしたら、建物内に消防士を入れた警備員・イーサンたちに倒されてしまった職員・コンピューターに侵入された管理者たちのほうが重大なミスを犯しているのではないでしょうか?しかし、彼らがどうなったのか触れられていません。でも、再度消防士として堂々と建物の中から出ているところを見ると、やはり処分を受けたのはウィリアム・ダンローだけだったのでしょう。

最終的にイーサンとルーサーは汚名を晴らすどころか、犯人の組織を壊滅させたという働きが認められ新たなチームの管理者となります。つまりリストを盗み出したことは作戦のため必要な行為だったと認められたのです。ではウィリアムもアラスカから戻されたのでしょうか?残念ながらそのことについては何も触れられていません。しかし、本物のリストを盗み出せなければ組織を一網打尽にすることはできなかったでしょう。そう考えるとウィリアムも作戦の成功の一端を担った人だと言えるので、アラスカからもどしてあげてほしいと思うのは私だけでしょうか?

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