現代人の心を少年の素直さに引き戻す、郷愁とロマンティシズムにあふれた見事な男のドラマ
映画という虚構の中で描かれる男については、人間的な弱さや脆さを持ったダメ男が好きだ。この現代において、ダメでない男のどこに魅力があるだろう。だから、私は、そういうダメ男を主人公にした映画に魅かれてしまう。だが、このジョン・ミリアス監督、ショーン・コネリー主演の「風とライオン」は違う。この映画に登場するのは、ダメさのかけらもない、まぎれもなきヒーローなのです。男の強さと、男の美しさと、男の優しさと、その全てを併せ持った"立派な男"の、なんと惚れ惚れする魅力なのだろう。忘れていた"真の男"への夢が、いま鮮やかによみがえるのです。限りない憧れをかきたてられ、慕情をうずかせて、この大スケールの映画のダイナミックな迫力に匂い立つ、途方もないロマンティシズムに、私はのめりこんでしまうのです。この映画は、1904年のモロッコが舞台。その資源と利権を狙って、世界の列強が介入してきて、しのぎを削る中、一つの誘拐...この感想を読む
4.54.5
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