アニメ制作された目的が分からない作品
原作マンガの再現なのか!?
宇宙からやってくる幻魔の存在に、人類たちが超能力に目覚めて戦っていくことが根幹になっているようです。劇場アニメの時間枠に納めようと、原作の相当量をアニメ化されたのではないでしょうか。内容を詰め過ぎて、前後関係が不自然な印象を強く持ってしまいます。
その為、アニメ作品の完成度という部分では中途半端な気がしてならないです。突如として、超能力に目覚めていく登場人物が、突拍子もない展開に思えてなりません。物語に必然性のようなものがなく、とても残念な印象です。本当にプロが制作したものなのか、疑問に感じてしまうことが多かったです。
超能力に目覚める主人公たちが、幻魔と戦っていく展開が上手くつながっていないように感じられます。せめて、幻魔と戦うことを前提として、超能力に目覚めていくのであれば自然に感じられたのだと思います。
私自身は原作マンガや小説を読んだことがありません。だから、余計に違和感を覚えるところが多いのかもしれません。原作の全てがアニメ化されているようではないようです。その事実から考えられることは、このアニメ作品を切っ掛けにして、原作に取り込もうとした狙いはあったのかもしれません。
ただ、アニメ作品自体の魅力を感じることができず、そういった狙いがあったのであれば、機能していないと言わざるを得ません。
とても面白い内容で、先が気になってしまう内容であれば、アニメ作品から原作に取り込むことは可能だと思います。その図式が成り立たないと、アニメ作品止まりになってしまうのではないでしょうか。
とても残念に思えてしまうアニメ作品でした。
原作ファンの方が劇場版アニメ「幻魔大戦」を観て満足できるのか、意見を聞いてみたい気もします。もしかしたら、原作ファンの方からすると、満足できる内容なのかもしれないです。先に知っている世界観や設定など、予備知識が入っていることで楽しめる内容ではあるのかもしれません。
ひょっとしたら、原作ファンに向けて制作された劇場版アニメだったのでしょうか。
逆の視点で捉えてみたとき、私が楽しめなかったのであれば、原作ファン向けのアニメ作品である可能性は大きいように思います。
観る前に、事前の勉強が必要なアニメなのかもしれません(笑
ルナ姫のテレパシー放送
ここの場面で、超能力を使用する登場人物が一気に増えました。この場面も、違和感の強いところだと思います。観ていて心の中で、「あなた誰?」という人物が続々現れてきます。また、超能力者は、幻魔と戦うことが前提となっているそれぞれの考え方にも、ご都合主義のようなものが垣間見えてしまいます。
この場面では、原作マンガや小説を読んでいれば知っている顔が並んでいた、という捉え方ができるのでしょう。アニメ全体を振り返った時、この場面がアニメ本編の中で、物語の展開や幅が一気に膨らんだところだと思います。
原作でもあった場面なのかもしれませんが、この部分においては、やり過ぎに感じてさせるものでした。突拍子もない展開の代表例なのではないでしょうか。
主人公ジョウの存在
思春期真っ盛りの男の子主人公として描かれていました。アニメ本編を見通すと、主人公ジョウの成長を描いている要素が大きかったのではないでしょうか。過剰な力を手にしながら、扱えきれずに葛藤している場面が印象的でした。
心を開けないジョウが、姉に対して、徐々に心を開いていく様子は強調されていたように思います。物語冒頭では、自分の部屋に入ってきた姉に対し、ジョウはイヤホンで音楽を聴いており、外して会話する様子もなければ、不機嫌な雰囲気を醸し出しています。しかし、ジョウが姉に対して、自分自身を支えてくれている存在だと気付いた場面は良かったです。超能力に目覚めたことを打ち明けた時、疑うこともなく、信じてくれた姉の存在は偉大だと思います。
そして、姉の存在がジョウの成長を促しているのは、変に干渉せず、信じて見守ることを実践しているからこそだと考えられます。なかなか、自分自身に当てはめた時、自分時間ができる行動ではありません。
ジョウのガールフレンドは、姉の偉大さに負けてしまうくらいなので、相当な存在感なのでしょう(笑
作品から伺えるメッセージ性
主人公ジョウの成長が目覚ましいことから、ジョウの成長を通して、訴えたいことは感じられるのではないでしょうか。そして、感情に支配されて行動してしまうと、肝心要の部分を見落としてしまうことも挙げられます。
ジョウにとって、姉の存在を失った喪失感は大きいものだったでしょう。
しかし、自分だけでは生きていけずに支えてくれる仲間がいました。そして、姉の存在も身体こそ失ってしまいましたが、変わらず見守ってくれていることにも気付きました。
亡くなった姉を実体的に描いていたのが印象的でしたが、現実社会においても親友や兄弟、親が亡くなってしまっても同じことがいえるのかもしれません。きっと、どこかで魂だけの存在になっても見守ってくれているのだと思います。二度と会えないことは悲しいことなのかもしれませんが、近くで見守ってくれている、と考えることで立ち直ることはできるように思います。
ジョウの成長、そして、姉弟愛がこの劇場版アニメ「幻魔大戦」に込められたメッセージ性のように感じられます。本来は中核を担うはずのベガの存在感、ルナ姫の存在感は薄かったことが、その表れではないでしょうか。
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