大人になってから良さがわかる作品
アラサー女子の多くは、小花美穂さんの漫画作品を一度は読んだことがあると思います。この「猫の島」は作者が代表作品「こどものおもちゃ」を連載していたときに発表した読み切り作品です。
とある島で暮らす幼馴染の草太とまりがいつも浜に流されてくる猫の死体の謎を解こうと大人たちが近づかない「猫の島」に向かうと、そこはかつて毒ガスの実験台にされた猫の呪いで「半猫人」が暮らしている島であることを突き止めます。その島で出会った半猫人の少女「ナオ」との生活を描いた物語です。
あとがきによるとこの話はうさぎの島として知られる「青島」を訪れたときにインスピレーションを得て作られたそうです。また、発表後単行本化されるまでに「毒ガス」というものが身近に感じられる事件が起き(はっきりと言及されていませんが、地下鉄サリン事件のことだと思います)、平和な日常の大切を描いていきたいと改めて思った・・・と語られていました。子供の時に読んだことはそんなことは露知らず、今になって作者のあとがきを読むとなんて重い、深い話なのだろうと心に響くものがありました。
ナオが人間の世界に来て、少年犯罪や通り魔の事件のニュースを見てさみしそうにしている場面がとても印象的です。もう20年近く経っているのに、世の中は何も変わっていないのかもしれません。
ナオとの別れの場面と、ナオは猫になって戻ってくるくだりは、何度読んでも泣いてしまいます。
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