ちょびっツを読んで… - ちょびっツの感想

「ちょびっツ」とは。

女性読者層が多い作品を世に出してきたCLAMPが、初めて青年誌で連載した作品。

ちょびっツの主な内容は、

「人の形をした人で無い者」と人間が様々な立場で交流していく。

主人公は予備校に通う、浪人生だ。

金が無く、童貞、毎日ギリギリにバイトしながら過ごすさえない日々だったが、そんな主人公に

ある日突然、今作のヒロイン

人の形をした女の子のパソコンが現れる。

見た目は人間そっくりだが、接続端子の耳がついており、やはりパソコンなのだと主人公ははしゃぐ気持ちを抑え現実に戻る。

だが万年金欠の主人公には中々手が出なかった人型パソコンな上に、外見が魅力溢れていれば惚れてしまうのに時間は掛からなかったのだ。

この作品が青年誌で連載されてる理由に、主人公と登場する女性キャラクター達の絡み方が

Hなコメディになっている。

彼女ナシ童貞の主人公目線なのだが、女性が見てもクスッとできる程度なので安心して頂きたい。

この作品は人の形をしたパソコンとどう接するかがキーワードになる。

前半は楽しいコメディ要素が強く、テンポ良く進むが、中盤あたりから主人公の周りを取り巻くキャラクター達の、様々な葛藤が垣間見え始める。

人の形をした人で無い者が、人間の様に振る舞い、人間達に寄り添う。けれど、それはプログラム通りに動くだけで、意思や感情からの行動では無い。

この人型パソコンが本当に人間だったら…

この人型パソコンが本当の姉だったら…

このパソコンが本当の娘だったら…

高度な技術の発達で作られた人型パソコンだが、どんなに技術の進歩があってもけして、本物の人間にはなれないのだと悟る。

この作品のクライマックスは

そんな葛藤していたキャラクター達と人型パソコン達に予期せぬ事が訪れる。

ちょびっツは、けして現実的なストーリーでは無いが、未来の舞台に登場するキャラクター達は、今の私達と変わらない悩みを抱えている。

技術の進歩から生まれる新しいジャンルの

様々な愛をCLAMPは描いている。