座敷女のあらすじ・作品解説
座敷女とはドラマ化や映画化されたバタアシ金魚、お茶の間、ドラゴンヘッド、鮫肌女と桃尻女などを生み出した鬼才、望月峯太郎氏の隠れた名作であり、名漫画にふさわしい作品である。 ストーリーはごくごくありふれた今風の大学生の一人暮らしの家の隣人に、夜間大きく不気味な女が訪ねてくるところから始まる。 最初は隣人を訪ねてきた女だがのちに主人公を付け回すストーカーへと変貌する。ストーカー女の不気味な見た目はさることながら、主人公の大学に執拗に電話したり合い鍵を作ったり、挙句の果てには主人公が好意を寄せている女の子にも襲い掛かるなどの、暴挙へと発展する。最終話にてわかることだが、ある種の都市伝説と組み合わせているところもあり、ストーカー女の正体もぼやかしているのでより一層恐怖感をあおる。 ストーカーという言葉がまだ世に出てくる前に書かれたこの作品は、1巻という短編ながら読む人をとりこにし、また考えさせられる作品となっている。
座敷女の評価
座敷女の感想
ありふれた日常を破壊する不協和音。
ごくごく普通の大学生、森ヒロシが、隣家を訪ねてきた不気味な「サチコ」という長身の女と遭遇したことから始まるホラー作品です。サチコが一体何者なのかわからないまま物語は展開していきます。謎のままヒロシがサチコにつきまとわれ、自身や周りを破壊されていく姿はあまりにも残酷で、漫画の中からリアルに痛みを感じられるほど。いわゆる「ストーカーもの」という分類にはなってしまいますが、時間が経つにつれ凄さを増すのが、この作品が「ストーカー」という言葉が認知されるより前に描かれたものだということ。私が初めてこの漫画を読んだのは今から20年近くも前のことですが、その時感じた恐怖は今も褪せることはありません。