家族だからこそ分かち合える閉塞感。
一人称で語られる、1つの大家族の歴史。
ある意味、特殊な状況下にある家族の風景を描いた本作ですが、不思議と懐かしい気持ちにさせられます。誰もが持っている、記憶の底にある感情をギュッとつかまれる感じ。
家族にだけ通じる、他者からみると不可解なルール。血を分け、共に過ごしてきた家族だからこそ、分かち合える奇妙な閉塞感。
この、どこの家族も抱えているであろう秘密を少しずつ読み解いていく快感!!
600ページに及ぶかなりの長編ですが、一気に読めてしまいます。
(私は 1度目は一気に読み、2度目はゆっくりと読みました)
それにしても、家族を描かせたら江國香織は本当に上手い!!どんなに特殊な設定でも、ちゃんとリアルを作り出してしまうのだから不思議です。お話とは、こうあるべきだと思う程。
全てがリアル。なのに、かなりクレイジーな登場人物達のとりこになってしまいます。ちなみに、私の 1番のお気に入りは母菊乃。もちろん、陸子も好きですが。。
女性は、そういう方、多いのではないでしょうか?彼女達は幸せだったのかしら。
タイトルの「抱擁あるいはライスには塩を」は、二重の意味で使われています。素晴らしいタイトル!ちょっと覚えにくいですが。
家族ならではの歴史があって、高さがあって、不自由さがあって。その鎖が、少しずつ朽ちていく。
うん、やっぱり面白いです。ほんと。
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