乙一初期の作品
乙一といえばGOTHが有名だと思うが、こちらの夏と花火と私の死体も割と評判の良い作品だと思う。ただ、内容がすばら良いかと聞かれると私はごく平凡と答えるようにしている。乙一作品を読んだことがなく、どんな感じの文章なのか、どんな感じの物語なのか知りたい方にはうってつけなのではないであろうか?なぜこれほど乙一作品が人気が出たかというとそれはおそらくストーリの展開が上手いからであろう。死体を一人称視点で捉え文章を進めることで一種独特な雰囲気の中で物語を展開している。その点においてストーリのオチにつなげていくくだりは非常に優れているのではないであろうか?それ故読者の目線からすると非常に話のテンポがよく見えてしまうのである。要は独特の世界を文章で構築した後にその世界をうまく活用し、ややもすると冗長になりかねない場面をうまく避けて進行させるという手法だ。これは他の乙一作品でも見られる。たとえば死に損ないの青などもその一つであろう。若干ホラーの要素を漂わせるが決してホラーに徹しないあたりは乙一の腕を認められる。この作品を皮切りに、乙一の他の作品まで是非目を通してもらいたい。そうすることでこの作品の端緒としての意味を十分に味わうことができるだろう。
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