作り話のようで現実味があって地味に怖いです
最近ドラマ化された宮部みゆきさんの小説です。私は地元地方紙で連載されている時に初めて読みました。その時は、「こんな理由で無差別殺人なんてする?」と感じたのですが、現実に目を向けると、世の中には、理由のわからない(当人にとっては重い理由があるのでしょうが)殺人事件があふれています。そう考えると、うすら寒いような地味な怖さを覚えます。 物語としては、人のいい編集者が異常なまでに被害意識の強いアルバイト女性の対応をするラインと、小さなコンビニを舞台に飲み物を買って飲んだ人が毒殺される連続無差別殺人事件の容疑者となった被害者の娘と孫娘が真実を追うラインの2本からなり、交わったり離れたりしながら、クライマックスへと続いていきます。 わけのわからない怒りに駆り立てられ、人を傷つけ、決して友情を築けずトラブルばかり起こす女性。そして、人生の虚しさに駆り立てられ無差別殺人を起こす青年。まさしく、現代の闇そのものではないでしょうか。
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