私が読んだ小説の中でトップレベルの面白さです
貴志祐介さんの作品は本当にはずれがなく、大好きな作家の一人です。 東野圭吾さんのようなトリックものも書ければ、鈴木光司さん(リング)のようなガチホラーも書けますし、ファンタジーのようなものまで書けるので、幅広く才能を発揮している作家さんです。 どれも面白いのですが、本作はトリックもの+青春ドラマという新しい試みで、 ミステリーの中でも甘く切ない気持ちを感じる作品です。 本作は、頭のいい男子高校生の秀一が、家に居座っている粗暴な元夫から母親と妹を守るために完全犯罪を実行していくという倒叙型ミステリー(犯人の視点で書く形式)です! その中で、彼女との青春ドラマや色んな葛藤があり、様々なドキドキが楽しめます。 私の最も好きなシーンは、最後別れのシーンで、ヒロインの紀子に「じゃあ、わたしが好きだっていうのも嘘?」と聞かれ、本当は好きなのに「ああ。嘘だ」と答える場面です。 初めて小説で涙しました。 家族との別れ、彼女との別れ、自分の人生との別れ、最後まで誰も救われませんが、 純粋に人のことを思う気持ち、あまりの切なさ心が揺さぶられました。 本作は映画化もされており、二宮和也さんと松浦亜弥さんが主人公とヒロインをそれぞれ演じていますが、こちらは青春ドラマとしての色が少し強い感じがあります。
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