連鎖
雑誌の連載作品で作者は第一話を短編として書き上げたようです。 確かに二度目を読んでみると一話目はすばらしいできとなっています。 いや正確に言うと一話でこの物語の骨子を描き二話目以降に真相、心理が深く掘り下げられているようなつくりになっている。 映画化されたものも拝見しましたが、やはり陰鬱なイメージは拭われずそして誰も救われない。しかし面白いんです。それはこの物語の持つ陰鬱だけならぬ雰囲気、どこかひどく現実味を帯びたものが私達を襲います。登場人物はかなしながら全員が全員自分のことしか考えておらず所謂自己中心的で、しかしそれこそが人間の本質なのだろうか。という風に強く思わせる作品でした。事件はひとつ、ひとつと積み重ねられていきます、そして迎えるラスト。終わっても誰も、救われない。 ミステリーとして非常に質の高いものとなっており、いきなり一話からとてつもない筆力を感じさせられました。本屋大賞受賞とのことですが、やはり私が読んできた小説でも異質な部類に入り話題性を生むのもうなずけます。
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