読んでよかった学園もの - 兎の眼の感想

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小説レビュー数 3,368件

兎の眼

4.254.25
文章力
4.17
ストーリー
3.83
キャラクター
4.50
設定
4.17
演出
4.00
感想数
4
読んだ人
7

読んでよかった学園もの

3.53.5
文章力
4.5
ストーリー
3.5
キャラクター
4.0
設定
4.5
演出
4.0

まだ卒業したばかりの初々しい新任教師が受け持ったのは、 学校では全く心を開かず一言もしゃべろうとしない一年生の鉄三。 全く心を開いてくれなくて落ち込む小谷先生だったが、 鉄三の祖父や同僚のヤクザじゃんって突っ込みたくなるような足立先生、 そして様々な生徒たちと触れ合うことで心身ともに成長していく様子を描いてあります。 人の心を開こうとすることほど苦戦するものはありません。 だってかたいカラにこもっているのでどう呼びかけても心にひびきにくいんです。 色々と歩み寄っていくうちにいろいろと気づいて言って いやこの子は・・・ってなってくるんです。 先生は気づくんですよ。あの子の豊かさに。 今の世の中は学校と家庭の荒廃が叫ばれていて 本当の教育についてひとりひとりの読者自身に問いかけてくるんです。 あなたなら?って。 長い年月が流れても現在まで語り継がれている名作です。 こういう時代だからこそ一緒に考えていかなければいけないんです。

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他のレビュアーの感想・評価

やり残してきた仕事がある大人の心を揺さぶる一冊

傷を負っていない人間も、強くやさしくなれるのか「兎の眼」という一風変わったタイトルだけは、ずっと以前から知っていたのですが、ストーリーについては一切知らなかったので、先入観を持たずに読むことができました。1974年に発表された社会派小説である本作の主な舞台は、小学校と、そこへ通学する幾人かの子どもたちが暮らす塵芥処理所です。今でこそ、多くの塵芥処理所は、窓の少ない大きな高層の建物の中でゴミの処理を受け持ってくれていますが、この物語が書かれた当時は、様々な事情を負いながら、仕事場のすぐ近くに住居が持てますよと役所から言われた人々が、夏も冬も灰を浴び続ける生活の中で、処理を受け持ってくれていた様子がよくわかります。作者の灰谷健次郎さんは、17年の小学校の教師の経歴を持ちます。これほどの小説を書く灰谷さんがどうして教師を辞めたのか。今の時代に作家について書籍で調べたり、インターネットで検索をするこ...この感想を読む

5.05.0
  • heartheartheartheart
  • 607view
  • 2075文字
PICKUP

色々な問題がつめこまれた本です。

鉄三にはたからものがいっぱい詰まっている。乱暴者の鉄三のどこにたからものが・・・最初はそう思いました。でも見方を変えればただ乱暴なだけじゃない、ただ無口なだけじゃないすべてに理由があり、その理由をしればうまく付き合えるようになることも隠れた才能を発見し、そこを伸ばしてあげられることもわかりました。自分の子供の行動がわからないとき、どうして言う事を聞いてくれないのかと怒るのではなく、深呼吸して理由を探してみようと思いました。また、この本は子供たちの暮らす地区の環境の悪さも問題になりました。作業所を移転させ、危ない道を子供たちに通わせること、もしくはやっとまとまりかけてきたクラスを離れて違う学校へ転向すること、どれが本当はいいのか・・・また、自分だけ、自分の子供だけ良ければほかの子供がどうなろうといいのか。夫婦とは何か。いろいろと考えさせられる問題がたくさん詰まってる本でした。この感想を読む

3.53.5
  • KOZYKOZY
  • 255view
  • 392文字

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