兎の眼のあらすじ/作品解説

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小説レビュー数 3,368件

兎の眼

4.254.25
文章力
4.17
ストーリー
3.83
キャラクター
4.50
設定
4.17
演出
4.00
感想数
4
読んだ人
7

兎の眼のあらすじ・作品解説

兎の眼は、1974年に理論社から刊行された灰谷健次郎の作品。1983年フォア文庫、1984年新潮出版、1998年角川出版から、文庫本として出版された。 新米女性教師・小谷先生が工業地帯の一角にある小学校に赴任するところから、物語は始まる。学校の近くにある塵処理場で働く親を持つ子ども達と、町で働く裕福な家庭で育った子ども達。正しさとは、平等であることとは、子どもを想い育てることとは――。様々な個性を持つ生徒や保護者達と少しずつ距離を縮めながら、小谷先生自身も教師として、人間として成長していく。 1976年には金澤碧主演によってドラマ化(NHK「少年ドラマシリーズ」)、1979年には中山節夫監督、壇ふみ主演によって映画化(配給は共同映画)された。 教育問題や少年犯罪を始めとする実社会のニュースと関連付けて取り上げられることも多い他、小学校中学年から中学生の読書感想文課題図書として推薦されるなど、初版の出版から四十年以上(2015年時点)を経てなお、様々な分野に問題提起を続ける作品。

兎の眼の評価

総合評価
4.254.25
(4件)
文章力
4.174.17
ストーリー
3.833.83
キャラクター
4.504.50
設定
4.174.17
演出
4.004.00

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兎の眼の感想

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やり残してきた仕事がある大人の心を揺さぶる一冊

傷を負っていない人間も、強くやさしくなれるのか「兎の眼」という一風変わったタイトルだけは、ずっと以前から知っていたのですが、ストーリーについては一切知らなかったので、先入観を持たずに読むことができました。1974年に発表された社会派小説である本作の主な舞台は、小学校と、そこへ通学する幾人かの子どもたちが暮らす塵芥処理所です。今でこそ、多くの塵芥処理所は、窓の少ない大きな高層の建物の中でゴミの処理を受け持ってくれていますが、この物語が書かれた当時は、様々な事情を負いながら、仕事場のすぐ近くに住居が持てますよと役所から言われた人々が、夏も冬も灰を浴び続ける生活の中で、処理を受け持ってくれていた様子がよくわかります。作者の灰谷健次郎さんは、17年の小学校の教師の経歴を持ちます。これほどの小説を書く灰谷さんがどうして教師を辞めたのか。今の時代に作家について書籍で調べたり、インターネットで検索をするこ...この感想を読む

5.05.0
  • heartheartheartheart
  • 605view
  • 2075文字
PICKUP

色々な問題がつめこまれた本です。

鉄三にはたからものがいっぱい詰まっている。乱暴者の鉄三のどこにたからものが・・・最初はそう思いました。でも見方を変えればただ乱暴なだけじゃない、ただ無口なだけじゃないすべてに理由があり、その理由をしればうまく付き合えるようになることも隠れた才能を発見し、そこを伸ばしてあげられることもわかりました。自分の子供の行動がわからないとき、どうして言う事を聞いてくれないのかと怒るのではなく、深呼吸して理由を探してみようと思いました。また、この本は子供たちの暮らす地区の環境の悪さも問題になりました。作業所を移転させ、危ない道を子供たちに通わせること、もしくはやっとまとまりかけてきたクラスを離れて違う学校へ転向すること、どれが本当はいいのか・・・また、自分だけ、自分の子供だけ良ければほかの子供がどうなろうといいのか。夫婦とは何か。いろいろと考えさせられる問題がたくさん詰まってる本でした。この感想を読む

3.53.5
  • KOZYKOZY
  • 255view
  • 392文字

感想をもっと見る(4件)

兎の眼の登場キャラクター

小谷芙美

純一の母

兎の眼の名言

必要があるからしてるわけじゃない。おもしろいからやっているの

小谷芙美

毎日のように生徒の家を家庭訪問する小谷先生が、夫にそんなことする必要ないだろと言われたときに返した言葉

苦しんでも自分で考えて、自分でつくりだすようにします

小谷芙美

先輩にあたる足立先生の授業を見学して、とても勉強になったといいながらも、足立先生のまねはせず自分の力でがんばると決意する言葉

ひとつの試練をのりこえたときに、人間的な生長があった、わたしたち考えさせられましたわ。

純一の母

ゴミ処理場が学校の通学路の途中に出来てしまうため、保護者を招いてその説明、意見交換の場面を求めたところ。そこで生徒の保護者の発言で、一部の人間が犠牲になることについて仕方ないと思うのではなく、一緒になって考えることの大切さを最近の子供の様子から学んだと話しているシーン。

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