ハードボイルド/ハードラックの評価
ハードボイルド/ハードラックについての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が2件掲載中です。
各項目の評価分布
ハードボイルド/ハードラックの感想
肌寒い梅雨のような、
ハードボイルドハードボイルドは過去の傷を癒す話で、物語の内容とタイトルに一般的イメージの違いがあるのに、なぜかしっくりきてしまうというのが読み終えた後の感想です。感情に流されまいと離別を選択して、その瞬間はきっとハードボイルドなんだろうと思うのですが、傷を癒すための旅行中の主人公の気持ちは静かにとろけ出す半熟の黄身のようで、なり損ねた堅ゆで卵のような、中身を見てみたらなんだこんなにやわらかな人物だったんだとやさしい気持ちになる作品でした。それとも、回想していくうちに気持ちが逆戻りを始めて、堅茹でから徐々に半熟、生卵へと戻ったのかもしれない。反対に、過去の自分の非情さを今時を経て客観的に評価したことで、堅さがほぐれたのかもしれない。どちらにせよ、相手の気持ちに柔軟になる変化を感じ取れる構成になっています。非日常から日常を眺める今まで生きてきてうまく流せなかった過去を消化するためにひとり旅...この感想を読む