河童・或阿呆の一生の評価
河童・或阿呆の一生の感想
タイトル買いに注意
河童はこの本のなかで唯一、軽妙なタッチで描かれていますが、なんとも奇妙な世界です。河童の世界を描くことで人間世界を皮肉っているのでしょう。アリエッティの世界みたいな感じで私たちは覗き見している気分になります。迷い込んだ人間の主人公のガリバー感が面白かったです。そのほかの話は非常に暗い話が多いです。最後は自殺までおいこまれた芥川龍之介の精神状態を思うと、このように整然とした文章を書けたのが奇跡なのかもしれません。蜃気楼はエッセイで比較的読みやすかったですが、歯車は私にはちょっと刺激が強すぎました。誰もあなたのことを殺したりしませんよ。だから自ら死を選んだのですね。