哀しい予感の評価
哀しい予感についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が2件掲載中です。
各項目の評価分布
哀しい予感の感想
思いを心の中にとどめる、かなしみ
悲しいわけではない主人公は言いたかったんです。言うことで気持ちが開放されて心も軽くしたかったんだと思います。それに一番に気づいたのが弟である哲生で、主人公は相当嬉しかったでしょう。すでに深い部分でお互いを認め合い、欲していて、なるべくしてなったのでしょうが、きっと若いふたりにとってそれは運命的で哀しみの中で到達できた関係だったから、より特別に思えたことでしょう。悲しみは心が壊れてしまうほどの思いを口から叫ぶほどの感情を指し、哀しみは、心の中でためにためて、胸の詰まる思いを言います。しんしんと心の中に積もっていく哀しみを否定したいわけではありませんでした。その予感が正しいことを確かめに主人公はゆきのを訪ねます。そのふらっと足が向く主人公の不安定さも目の前にしっかりと存在する幸せな家族と相反していて、より際立ちます。不良というわけではありませんし、激しい抵抗でもない。それが反対に息苦しくて...この感想を読む