天国までの百マイルのあらすじ・作品解説
天国までの百マイルは、1998年11月17日に朝日新聞出版社により発売された、浅田次郎による日本の小説で、その後、文庫化もされている。 この作品は、バブルの崩壊により、経営していた不動産会社をつぶしてしまい、さらに離婚して家族をも失い、どん底まで落ちぶれてしまった中年男、城所安男が、心臓病に冒された母親の命を助けるために、心臓外科の名医のいる千葉県の鴨浦の病院まで、百万マイルの距離を、奇跡を信じて、母を乗せた軽トラックで走り抜けるという物語である。お金を失った安男や病気の母親を疎ましく思う兄弟たち、愛人である安男の幸せをただただ願うホステスのマリ、また、離婚をしたものの、いまだに安男を想い続けている妻の英子、最初に入院をしていた病院で母親の担当医であった藤本など、周囲に登場するさまざまな人物とともにストーリーは展開していく。 2000年には、主役の安男を時任三郎が、その母きぬ江を八千草薫が演じ、日活により映画化もされている。
天国までの百マイルの評価
天国までの百マイルの感想
何歳になってもやり直せる、と思わせてくれます。
社長だった会社をつぶしてしまい、妻と子と別れた中年の男が、母の心臓病のために奮い立ち、突き進んでいく作品です。一度成功した人が落ちぶれ、劣等感に苛まれ、けれど大事なことを思い出し、周りに反対されても進んでいく。どんな境遇の中でも、手を貸してくれる人はいるもので、人の温かさを感じさせてくれます。また、落ちぶれた安男と、それを支えている、水商売の女性との関係、そしてこの2人の最後もこの作品の醍醐味です。酸いも甘いも経験した中年でも、やり直すことができる。どうしてもお金が必要な世の中で、やはりそれ以上に大事なものを忘れずにいたい、と読み終わった後に感じる作品です。