ミステリ…じゃない!?反則ワザのラストが僕らを嘲笑う、小野不由美の意地悪さ
在りし日の探偵小説は陰鬱と耽美のミスリード間違いなく思う。この作品は小野不由美先生からの挑戦状だ。個人的な話をすれば、小野不由美の事を知ったのは「十二国記」が初めてだった。当時アニメをやっているとかで、最初はラノベ系の作家さんなのかな、という認識だったのだけど。いや実際、ゴーストハントとか初期作は特に、そちらの気が強い作家さんなのだけど。読んで度肝を抜かれた。異世界系ファンタジーなのに人間のエグみが綿密に描写されている「ほぼホラー」と言っても過言じゃないぐらいヘヴィな内容だったのだ。小野不由美の強みはこうした、全く優しさのない、非情でソリッドなストーリー構成だ。ファンタジーをこれでもかという程、リアル側に引きずり降ろす、あるいはリアルという武器で「ファンタジーは斯くあるべき」という幻想をぶっ壊す。夢見がちな少年少女の妄想をヘッドショットで瞬殺する非情さ。それはもう、「ダークファンタジー...この感想を読む
4.04.0
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