「夜長姫と耳長男」美しい姫の幻想的で残酷な心の闇とは?
坂口安吾の世界に惹き込まれた私私は、はずかしながらこの齢まで、彼の作品に目を通したことは、ありませんでした。今回「夜長姫と耳長男」というおとぎ話のようなタイトルに惹かれ読んでみることにしました。この作品は、彫物師である耳男の目線で語られており、職人気質のぶっきらぼうで、まだ女性経験のない堅物な若者の表現が、素朴で小気味よく、不思議な魅力を感じました。私は、読み始めてから息つく暇もないほど、一気に耽読してしまいました。耽読した後、これは、作家坂口安吾の筆力の凄さだと痛感いたしました。久しぶりに退屈することなく、興味深くそして考えさせられる作品に出合えたことを嬉しく思いました。現代にも息づく無類の作品!私は、作家坂口安吾が、「どのような人生を歩んだ作家」なのか非常に興味をもちました。ネットで検索すると、薄幸な生い立ちから始まり、アウトロー的な生きざまで、なんとも気の毒としかいいようのない生...この感想を読む
5.05.0
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