そうだ、私も小川洋子が書くようなエッセイを書こう!
小川洋子、メジャー化の波に乗るエッセイ!2006年刊行の彼女の4作目のエッセイ集。2006年といえば彼女の代表作「博士の愛した数式」が映画化された年で、同作の2004年の読売文学賞と本屋大賞の2冠受賞に始まり、2005年は「海」で川端康成生賞を、2006年には「ミーナの行進」で谷崎潤一郎賞を取るなど、まさに乗りに乗った時期である。本書も巻頭に数式にまつわる話を集めていることから、映画化人気に乗っかって以前のエッセイもまとめて売れるうちに売っておこう、という集英社の意図が透けて見える刊行物ではある。しかし、そんなことは金の亡者どもが勝手にやっていることだ。我々小川洋子ファンは彼女のエッセイ集には必ず書き下ろしが入ることを知っている。たとえ既に読んだものとかぶるものがあっても、入手せずにはいられまい。本書では書き下ろし3篇と決して多くはないが(2011年刊行の「妄想気分」では10編も書き下...この感想を読む
4.04.0
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