町長選挙の評価
町長選挙の感想
短編集でありながら読み応えのある作品
何か得したような喜びと驚き図書館で本を探す暇がなく、適当な作家にあたりをつけて借りることがよくある。この本も奥田英朗ならそれほど大事故にならないだろうというだけで借りた(経験から言うと、そうなることもあるにはあるのだけど)。前にも「イン・ザ・プール」とか「サウスバウンド」とか読んで軽めで面白かった印象があったので、それだけというだけで借りた。結果正解だった。こういうときは結構うれしい。その上、私は奥田英朗は「イン・ザ・プール」と「空中ブランコ」の精神科医・伊良部シリーズが一番の当たりだと思っている。で、この本がそのシリーズだと知らなかったので、何か得したような喜びと驚きがあった。小説は全部で4つの短編が収められていて、もちろんそのどれもに伊良部は登場する。無邪気さと気持ち悪さが同居する不思議な魅力は相変わらずである。そしてそのどれもが楽しく読めた。伊良部が救うつもりもなく救っているもの...この感想を読む
短時間でサクサク読めてしまう作品
精神科医 伊良部一郎シリーズの第3作目で、今回も前作同様短編小説となっており、とても読みやすい作品。ストーリーとしては、相変わらず精神科医である伊良部一郎が「いらっしゃーい」と甲高い声に患者を招き入れ、こちらも変わらずビタミン剤を注射するところは健在で安定した面白さがあります。各話としては、「オール讀物」に連載された当時に話題になった実在の人物がが主人公のモデルとなっており、実在の人物(顔やイメージ)やその当時の行動などを重ねてみると面白く感じました。「オーナー」の主人公である「田辺 満雄」は、ナベツネこと「渡邉 恒雄」であり、「アンポンマン」の主人公である「安保 貴明」は、ホリエモンこと「堀江 貴文」、「カリスマ稼業」の主人公である「白木 カオル」は、「黒木瞳」といった具合にイメージしやすく、各キャラクターも濃いものになっている。ただし、各話の主人公達が濃すぎるところもあって、今回の伊良部...この感想を読む