ダメ男子+ひとめぼれ+実は可愛い眼鏡女子=王道+王道
万城目作品随一の切れ味!2006年発表の万城目学デビュー作。私は万城目氏の作品を何作か読んでいるが本作が一番気に入っている。何と言っても読み味が良い。本作同様に映像化された「プリンセス・トヨトミ」はちょっと壮大っぽさだけが先行して中身が弱いし、「偉大なる、しゅららぼん」は作品世界に乗り切れない。本作もオニの表現が文章のみではわかりにくい気はするが、そのシーンは飛ばしても読めるし、それを払拭する読み味の良さがある。今回はその魅力がどこから来ているのか考察したい。キャラクター性の王道本作は何と言ってもキャラクター性とオニを率いて戦うゲーム性が魅力だ。まずキャラクターに絞ってその魅力を考えよう。主人公安倍の目線で描かれるので彼自身のダメっぷり、トホホ感は誰もが感じるところだが、振り返ってみれば全登場人物がダメキャラとも言える。友人高村は言わずもがなで、前半では女神のように評される早良京子も実...この感想を読む
3.53.5
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