現実的に恐ろしいホラー小説
誰にでも起こりうる転落の罠、そのリアリティこの物語は何不自由なく育てられ、社会の荒波にもまれたこともない大学生の若者、修が主人公である。決して勉学に勤しむというような模範的な学生ではなく、授業をさぼっては遊んでいるため単位さえ足りていない。月々15万円の仕送りが少ないといっては愚痴をはき、日々だらだらとした生活を送っている。恋人も友人もいながらも大学に行く意味を見出せず、かといって何がしたいのかというのもわからないという典型的な日本の若者だ。そんなどこにでもいる彼が金銭的理由から除籍になり、アパートを追い出され、仲間からもケンカしてしまい決別してしまうまでに時間がかからなかった。本当に転がるようにどんどん状況が悪化していくそのテンポのよさに、手に汗握りハラハラしてしながらも、本から目が離せなかった。またところどころにちょっと役に立ちそうな知識が書いてあるのもよい。敷金礼金0はとても魅力...この感想を読む
3.53.5
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